タオルプリントの方法としては、シルクプリントとオフセットプリントの2種類があります。
主にプリントタオルで使われるのが、シルクプリントで、名入れタオルに使われているのがオフセットプリントです。
プリントタオルで使用するシルクプリントは、日本の友禅染・型染の型紙からヒントを得たイギリス人技師が、絹を使った印刷版を作ったのが始まりと言われています。絹(シルク)を使った印刷版(スクリーン)なので、シルク印刷とか、スクリーン印刷と呼ばれています。
シルク印刷の最大の利点は、どんな物にも印刷が出来ることです。
一説によると「水と空気以外なら何でも」と言われるぐらい汎用性の高い技法でもあります。
それゆえ、タオルのように完全な平面ではない物に印刷するには向いていると言えます。
また、多色刷りにも強いのがシルクプリントの特徴です。
多色のシルクプリントは、タオルの場合日本製はほとんどがオートですが、版を持ち上げてプリントするため、手作業で印刷する事も可能です。
Tシャツのプリントはこの手法を使うメーカーも多いようですね。
Tシャツの場合、プリントする範囲が限られているのと、生地自体が平面でシッカリしている物が多いので、プリントのインクで生地が縮んで次のプリントをするときに位置がずれるということは、まあありません。
タオルの場合は、オートの台(ベルトコンベアみたいな)に糊を付けてシッカリ固定するため 版がずれて色が重なることを防いでいます。
しかし、この工程を省いているところもあるので、そういうところだと品質面で問題が出やすいとも言えます。
それから、中国製の場合は間違いなくシルクプリントです。
手作業でTシャツのプリントみたいにやっている所が多いので、いい加減な工場だと、版ずれを起こしてしまいますから、よほど信頼のおける工場でないと、後々大変だと思います。
神野織物では、原則的に国内業者に依頼しています。
名入れタオルで多く使われているオフセット印刷は、一般的には平板印刷とも呼ばれ、平たい板の上に水が馴染む部分とはじく部分を加工しておきます。
こうしておいて、インクをその板にのせると、水が馴染む部分にだけインクが残り、それがプリントされるという仕組みになっています。
現在ではPS版と呼ばれるアルミ製の物が主流ですが、樹脂製の物も使われています。
樹脂製の物は、まるでハンコのようにペッタン、ペッタン押して印刷する方法です。
このやり方ですと、PS版のように細かい表現には弱いのですが、水を使わないので生地を汚したり、痛めたりする心配がありません。そのため、神野織物では、細かい表現の少ない名入れタオルのプリントについては、基本的に樹脂版を使用します。
機械自体はPS版と同じ機械を使いますので作業効率は落ちませんし、こちらの方がシルクプリントに比べ1色或いは2色までなら早くできます。このオフセットプリントの機械ですが、PS版や樹脂版をつけたローラーが行ったり来たりしてタオルにプリントします。
1枚プリントする毎にプリントしたタオルを取って新たに刷り位置にタオルの端だけセッ
トするやり方でとっても根気と手間が掛かります。ローラーが行ったり来たりするので
一応オートではありますが、基本は手作業です。
シルクプリントで名入れタオルをプリントする事も可能なんですが、一度版を持ち上げて新たにタオルをセットしてから印刷しますので、オフセットより時間が掛かるため、効率的ではありません。
その他に、名入れタオル専用の一色だけプリントする機械もあります。
これだと素人でもプリントは可能ですが、それでもオフセットプリントの熟練のスピードにはかないません。ちなみに、神野織物ではこの方式は今の処使っていません。
まとめ
シルクプリント
・水と空気以外はプリント出来るため、平面でないタオル印刷には向いている。
・比較的コストが高くなる。
・プリントタオルは基本的にシルクプリント。
オフセットプリント
・機械化が進んでおり、キレイにプリント出来る。
・シルクプリントに比べてコストが安い。
・名入れタオルは基本的にオフセットプリント。
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「パイルとシャーリング」 オリジナルタオルに使用するタオル生地と糸について
まず最初にお話したいのは、基本中の基本、タオルの生地についてです。
タオルというのは、糸を織機で紡いで作りますが、その仕上がり方が2種類あります。
それが「パイルとシャーリング」です。
パイルは、タオルの表面が輪のようになっているもので、シャーリングは、糸の一本一本が分かれているものです。実は、それぞれまったく別物というわけではありません。基本的に、タオルはまずパイル上で織りあがります。ただ、パイルの状態では、タオル表面が均一とは言えません。そのため、このままプリントしてしまうと、キレイに仕上がらなくなります。
そこで、表面を均一化するために、パイルの部分をカットして整えます。
これがシャーリングです。
つまり、パイルで出来上がったものを一手間加えたのがシャーリングということですね。
この作業を行うことで、生地の表面が均一化され、キレイなプリントが可能となります。
この2種類なんですが、それぞれ長所と短所があります。
まずパイルの方から説明をしますと、元々出来上がりの素材なので、一番コストが低いということになります。それと、余分な手間が要らないためか、コスト重視のタオルはパイルが主流ですね。
パイルのもうひとつの長所として、吸水性が上げられます。
表面の輪のところに水が溜まるので良く水を吸い取るというわけなんですね。
そういう意味では、タオルの機能だけを考えると、パイルは最適と言えるでしょう。
欠点はというと、表面が均一でないこと。そのために、プリントタオルとしては、印刷がやりにくいということが言えます。これは、平面の紙に印刷するほうが、デコボコした紙に印刷するよりもはるかにやりやすく、出来ばえがいいということを思い出して頂ければお分かりになるでしょう。
次にシャーリングですが、長所としては均一にカットするので、表面がとてもキレイに仕上がっているということがあげられます。ということは、パイルの逆でプリントがやりやすいということになりますね。
逆に欠点は、パイルのように水に接する面積が少ないため、吸水性が落ちることと、わざわざカットするという工程が入るため、コスト高になりやすいということです。
それと、パイルになっている状態からカットしますから、その分のボリュームが減ります。
そのため、パイルのタオルよりも薄くなるため、ボリューム感に欠けるということも言えるでしょう。(実際には、これを補う為に、カットする分を計算して生地を作ります)
このように、パイル、シャーリングとそれぞれ特徴がありますが、神野織物ではプリントの仕上がり品質を考慮して、シャーリングをお勧めしています。実際のところも、当社の商品の9割以上がシャーリングになっています。
まとめ
パイル
・低コストで作ることが出来る。
・水分を良く吸収する。
・プリントがキレイに仕上げづらい。
シャーリング
・(パイルに比べ)少し割高になる。
・(パイルに比べ)水分の吸収が劣る。
※ただし、裏面はパイルなので、吸水性は高いです。
・プリントがキレイに仕上がる。
賢いオリジナルミニハンカチの作り方
どうすればコスト面、出来栄えともに満足のいくミニハンカチが作れるのかについてお話していきましょう。
まず、どの商品でも問題になるのがロットですが、ミニハンカチについては、元々のバスタオル大の状態で換算しますので、最終的なロット数はかなり多くなります。
通常、10ロットを目安としますが、この10ロットというのは、バスタオル大の状態で10ロットということになります。
と いうことは、バスタオル大の物が1ダース(12枚)×10ロットで、120枚になるのですが、この1枚のバスタオルからミニハンカチが12枚取れるとし て、120×12で1440枚のミニハンカチが出来る計算になります。このため、以前は「1000枚以下の注文は受け付けない」という所が多くありまし た。神野織物は500枚程度から受け付けしております。(条件により、割高になることもあります)さすがに、1000枚となると、普通のクラブやサークル のオリジナルグッズにするには枚数が多すぎますよね。
そこで、ミニハンカチの用途として一番良いのが、「販促グッズ」として作ることです。
販促グッズであれば、1000枚単位というのも、ごくごく当たり前の世界ですし、何といっても1枚あたり100円程度で作れるのが魅力的です。
実 は、ミニハンカチはプリントを目立たせるためにシャーリング(タオルの表面をカットして揃える)で作るのが基本です。ところが、シャーリングは、水分の吸 収が良くないため、普通のタオルに比べて実用性が若干落ちてしまいます。でも、販促用と割り切れば、その問題もさほど苦にはなりません。
他 のレポートで、「中国産のタオルはおすすめできない」と言って来ましたが、ミニハンカチだけは別です。なぜなら、1枚あたりの大きさが小さいため、品質的 な問題が出にくいんですね。中国産を使うだけで、2分の1ほどの原価で作成が可能となるので、販促用としてはとてもありがたい話でもあるのです。
ただし、やはりここでも今まで述べてきましたように、日本企業が出資している中国の現地法人もしくは、日本企業の中国工場でないと、作成を依頼いたしません。
注染で染めるオリジナル手ぬぐいの特色・染め方と手入れ方法
注染の特色
1つ目の特徴は生地の裏面まで染まるという部分です。注染は一度の型置で両面に防染ができる上に、下からの吸引により染料がよく浸透し、繊維の奥までしっかりと染まり、裏面まで柄が出ます。
2つ目に、注染の型紙は少し大きいので自由にデザインしやすいという部分です。
また、型紙は枠を付けて型置をするので扱いやすくなっています。
その他の特徴としては「差し分け」という染め方があります。
染色は、一つの型で一色だけ染めるものが多いのですが、注染の場合は、「差し分け」という染め方で、一つの型で多くの色を同時に染めることができます。
そのためにはそれぞれの色が混ざらないようにする必要があり、色の境界に糊(のり)を置いて土手をつくり染料を注ぎます。これは、土手で囲った内側が外側の色で染まらないようにするためです。
他にも「ぼかし染」という染め方があり、この「ぼかし染」は色の濃淡やぼかしをつけるため「差し分け」と違い、色の境目に糊は置かないで染めます。
本染め手ぬぐいの染め方
本染めの手ぬぐいは、晒(白生地)を後から染めるのが一般的です。染め方にはいくつかの種類があり、昔から用いられているのが「捺染(なっせん)」で、色々な文様の型紙を使って、片面のみ染めます。
豆絞り手ぬぐいは「絞り染め」という技法を使っていましたが、手間がかかるため現在はあまり用いられていません。
主流は「注染(ちゅうせん)」と呼ばれる染め方で、糊を置いた部分だけが染め残り柄が表現されます。両面が染まり裏表なく使えるのが特長です。
詳細は、注染のオリジナル手ぬぐいのページをご覧ください。
本染め手ぬぐいの手入れ
注染(本染め)の手ぬぐいを洗濯する際はお湯や洗剤を使うと色落ちしやすいので水で押し洗いします。ねじって絞ると生地が傷むため、軽く押して水気を落とし、ハンガーや竿にかけて陰干しするだけですぐに乾きます。アイロンをかける場合はスチームで手ぬぐい生地を湿らせてからかけると傷みにくいです。注染(本染め)手ぬぐいをオリジナルで製作する際の型紙・糊・置型
型紙
型紙の紙となる渋紙は三重県伊勢の白子や鈴鹿で作られる。
そのため「伊勢紙(いせがみ)」とも呼ばれ、上質な和紙に柿渋を何度も重ね塗り、手間と時間をかけて作られる。
糊
餅粉と糠から作る澱粉質のもの、海藻から作るものがあり、染料の種類によって使い分ける。
型置
手ぬぐいは反物の状態(一反 約12m)のままで型置と染色が行われ、染め上がった後に規定のサイズにカットされる。
型置は、まず木枠に型紙を鋲で止め、木枠が毎回一定の位置になるよう型置台には目印が付けられる。その目印に合わせて型置を行った後に、手拭いの長さに合わせて布を折り返す。折り返された布の上に二度目の型置を行う。
再び布を折り返して三度目の型置行う。
これを繰り返すことで折り返した布と布の間には、型置の糊が一度ずつ挟まれていることになる。このように目印に合わせて一定の位置で型置を行うため、糊が付いている箇所は布の上から下まで同じ位置になる。
あとは製作枚数分同じ作業をひたすら繰り返す。
詳しくは、注染手ぬぐいの動画ギャラリーをご参照下さい。