本染め手ぬぐいの特徴なんですが、まずは良いところとしては、やはりあの和のテイストをふんだんに漂わせている雰囲気です。
あの独特の雰囲気は、タオルでは表現しきれない世界でもあります。
高級な手ぬぐいになると、額縁に入れて飾るケースもありますから、もはや芸術作品の域と言える様な物も作られています。
逆に悪い点なのですが、一度に20枚あまりの生地を重ねて一気に染め上げるという、いささか乱暴な方法をとっているため、どうしても1枚1枚の出来上がりにバラツキが生じます。
言ってしまえば、20枚すべての仕上がりがそれぞれ微妙に違うということもありえます。
それが本染めの魅力とも言えるのですが、いわゆる工業製品のような均一的な品質を求める方だと、ちょっと我慢が出来ないかもしれません。
ちなみに、後で説明をしますが、一度に20枚を染めるのではなく、1枚1枚丁寧に染めていくやり方もあります。
こちらは、非常に高い品質での仕上がりになりますが、当然その分コストは高くなってしまいます。
次に本染めで使う染料なのですが、反応染料という種類の物を使用します。
これは、生地の繊維に反応して発色する物なのですが、高輝度の発色が難しいという特徴を持っています。
つまり、本染め手ぬぐいでは、明るい黄色や赤色などは、色が出にくい傾向にあります。
また、作業自体も職人がそのときの温度や湿度などを自分の経験や勘を頼りにこなしていくといった昔ながらのスタイルなので、どうしても職人によって、仕上がりにバラつきが出てしまいます。
でも皮肉なことに、手ぬぐい職人の数が減ってきていますので、その分バラつきも減っているという現象が起きていますが。
本染め職人の減少も深刻なのですが、型職人の減少は更に深刻なものがあります。
また大阪の業者さんの話によると、型職人が三重県にしかいないので、どうしてもそこばかりに集中してしまっているそうです。
もしかすると、型作りの後継者がいないから、本染め手ぬぐいが作れないということもありえるのかもしれません。
また本染めの場合、染めたあとに洗いの工程があります。
これも人間の手でないと、なかなかうまくいかない作業でもあります。
でも、お分かりいただけるように、手洗いというのは重労働でもあります。
それに立ち仕事ですから、職人のなり手が減って来ているというのも、ある意味仕方のないことなのかも知れません。
それにしても、手ぬぐいのあのあたたかみのある風合いは、捨てがたいものがありますし、手作業が多い分、工業製品と違い、小ロットでも作ることが出来ます。
なにしろ、日本の伝統文化でもありますから、何とかその灯を消してしまいたくはありませんね。
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本染め手ぬぐい(注染手ぬぐい)の製造方法
「手ぬぐい」という物がどういう物かを知っていても、実は持っていない。
おそらく現代においては、そういう人がほとんどではないでしょうか?
それこそ、昭和の始めごろには当たり前のようにあった日用品なのに、今では絶滅危惧種のごとく、ほとんど目に触れることが無くなりました。
本染め(注染)手ぬぐいは、私たち日本人のほとんどが頭に思い浮かべる、あの白地に藍色で文字や模様が染められている手ぬぐいです。時代劇なんかでおなじみですよね。
あの本染め手ぬぐいは、今でも立派に現役として、世の中に出回っています。
本染め手ぬぐいの製造方法なんですが、「注染」という方法で作られます。
どんな方法かというと、まず型通しということをやるのですが、これは生地の上に、文字や模様をくりぬいた型というものを当て、その上から糊を塗っていきます。
こうすることによって、糊のついた部分のつかない部分が出来ます。
この布を染めると、糊のついた部分だけ染め上がらないため、それが白抜きとなって、文字や模様が残るという仕組みです。
糊付けされた生地は、積み重ねられて一つのかたまりになります。
だいたい一度に10枚~20枚を重ねておきます。
重ねられた生地は、流し台のようなところに入れられ、その上からインクを流しておきます。
生地がインクに浸ったところで、足元のペダルを踏むと、流し台の底から一気に空気が吸い込まれ、その際インクも同時に吸い込まれます。
その力を利用して、生地を一気に染め上げていきます。
この手法を「注染」といい、本染め手ぬぐいを作るときの最もポピュラーな方法となります。
なお、本染めには手ぬぐいの中央部分に柄が描かれた「一般染め」、生地の半分に模様を染め抜いた「通し柄」、手ぬぐいの上半分もしくは右半分に色が入る 「半ベタ染め」、お祭り用などによく使われる小さな柄を染め抜いた「総豆柄」、手ぬぐい前面に色を染め、柄が白抜きとなる「全ベタ染め」があります。
ちなみに、使える色の数ですが、一般染めと半ベタ染めが2色から3色、総豆柄が単色から2色、通し柄と全ベタ染めが単色となります。
注染で染めるオリジナル手ぬぐいの特色・染め方と手入れ方法
注染の特色
1つ目の特徴は生地の裏面まで染まるという部分です。注染は一度の型置で両面に防染ができる上に、下からの吸引により染料がよく浸透し、繊維の奥までしっかりと染まり、裏面まで柄が出ます。
2つ目に、注染の型紙は少し大きいので自由にデザインしやすいという部分です。
また、型紙は枠を付けて型置をするので扱いやすくなっています。
その他の特徴としては「差し分け」という染め方があります。
染色は、一つの型で一色だけ染めるものが多いのですが、注染の場合は、「差し分け」という染め方で、一つの型で多くの色を同時に染めることができます。
そのためにはそれぞれの色が混ざらないようにする必要があり、色の境界に糊(のり)を置いて土手をつくり染料を注ぎます。これは、土手で囲った内側が外側の色で染まらないようにするためです。
他にも「ぼかし染」という染め方があり、この「ぼかし染」は色の濃淡やぼかしをつけるため「差し分け」と違い、色の境目に糊は置かないで染めます。
本染め手ぬぐいの染め方
本染めの手ぬぐいは、晒(白生地)を後から染めるのが一般的です。染め方にはいくつかの種類があり、昔から用いられているのが「捺染(なっせん)」で、色々な文様の型紙を使って、片面のみ染めます。
豆絞り手ぬぐいは「絞り染め」という技法を使っていましたが、手間がかかるため現在はあまり用いられていません。
主流は「注染(ちゅうせん)」と呼ばれる染め方で、糊を置いた部分だけが染め残り柄が表現されます。両面が染まり裏表なく使えるのが特長です。
詳細は、注染のオリジナル手ぬぐいのページをご覧ください。
本染め手ぬぐいの手入れ
注染(本染め)の手ぬぐいを洗濯する際はお湯や洗剤を使うと色落ちしやすいので水で押し洗いします。ねじって絞ると生地が傷むため、軽く押して水気を落とし、ハンガーや竿にかけて陰干しするだけですぐに乾きます。アイロンをかける場合はスチームで手ぬぐい生地を湿らせてからかけると傷みにくいです。注染(本染め)手ぬぐいをオリジナルで製作する際の型紙・糊・置型
型紙
型紙の紙となる渋紙は三重県伊勢の白子や鈴鹿で作られる。
そのため「伊勢紙(いせがみ)」とも呼ばれ、上質な和紙に柿渋を何度も重ね塗り、手間と時間をかけて作られる。
糊
餅粉と糠から作る澱粉質のもの、海藻から作るものがあり、染料の種類によって使い分ける。
型置
手ぬぐいは反物の状態(一反 約12m)のままで型置と染色が行われ、染め上がった後に規定のサイズにカットされる。
型置は、まず木枠に型紙を鋲で止め、木枠が毎回一定の位置になるよう型置台には目印が付けられる。その目印に合わせて型置を行った後に、手拭いの長さに合わせて布を折り返す。折り返された布の上に二度目の型置を行う。
再び布を折り返して三度目の型置行う。
これを繰り返すことで折り返した布と布の間には、型置の糊が一度ずつ挟まれていることになる。このように目印に合わせて一定の位置で型置を行うため、糊が付いている箇所は布の上から下まで同じ位置になる。
あとは製作枚数分同じ作業をひたすら繰り返す。
詳しくは、注染手ぬぐいの動画ギャラリーをご参照下さい。