オリジナルプリントタオルとはどんな物か?そしてそれは、どうやって作られているのか?
「泉州(大阪)と今治」
今、国内のタオル生産拠点としては、大阪の泉州と、四国の今治が2大拠点となっています。この泉州と今治の違いでも、出来上がるタオルは変わってきます。少し専門的な話になりますが、タオルは縦糸と横糸の組み合わせで織り上げていくのですが、縦糸と横糸の本数が泉州と今治では根本的に違います。
泉州はおおよそ1インチあたり縦糸32本、横糸35本なのですが、これはSP用の名入れタオルを織るのに、一番適したラインです。
実はタオルの特性上、縦糸が少ないと、糸が抜けやすい傾向があります。
よく粗品で貰ったタオルの糸がほつれてきているのを見たことがありますよね?
あれは、この縦糸と横糸のバランスを欠いたタオルだと思って間違いないでしょう。
パイルの場合だと、糸がほつれてきても糸の輪が広がるだけですが、シャーリングだと抜け毛のように抜け落ちてしまいます。そこで、シャーリングの場合は、縦糸40本程度、横糸50本程度で織り上げます。ただ、それでもまだまだタオルとしては目が粗いと言わざるを得ません。
目の粗いタオルは、オリジナルプリントのタオルには不向きです。ザラザラの紙とツルっとした紙のどちらがキレイに絵がかけるか、そう考えていただくと一目瞭然ですよね。そのため、神野織物では、泉州の工場には名入れタオルに特化して発注をしています。
一方、今治はどうでしょう?
こちらは、1インチあたり縦糸45本以上、横糸45本以上なので、密度は高くなります。
それゆえ、プリントタオルに向いているのは、今治ということになります。
神野織物でも、プリントタオルに関しては、今治に発注をしています。
ちなみに私でもが作るプリントタオルは、縦糸、横糸の量を相当UPしての製造をお願いしています。
このように、製造拠点によっても質が違います。
それを知らずに、コスト面だけを考えて、泉州にオリジナルプリントを依頼すると、キレイなプリントが仕上がらなかったり、今治に名入れタオルを依頼すると、泉州よりも割高になったりします。
それぞれ得意分野があるわけですから、それをうまく使い分けるノウハウも必要というわけなんですね。
「製造工程におけるコストダウン」
さて、先ほどタオル製造の最低ラインとして、縦糸32本程度、横糸35本程度というお話をしました。タオルの材料費といえば糸ですから、この糸が少なければ少ないほど、材料費は安くなります。材料費が安いということは、その分利益が増えるというわけですから、このあたりをうまく利用する業者もいます。また、縦糸は32本のままにして、横糸だけを増やしておくというところもあります。前にも言いましたが、タオルというのは目方で換算しますので、横糸が増えていれば当然目方も増えます。ということは、他の縦糸が多いタオルと同じ重さのタオルを作ることが出来るというわけなんですね。
と、これだけなら「同じ重さなら同じだけ糸を使っているということだから、問題はないんじゃないか?」と思いますよね?
でも、縦糸と横糸のバランスが悪いタオルというのは、どうしても糸が抜けます。それどころか、洗うと型崩れしたり、使い心地も悪かったりするのです。そのため、こういったタオルは、クレームになることが良くあります。依頼する側は、タオルの縦糸が何本、横糸が何本などということは知らないケースがほとんどですから、コスト重視で依頼をすると、こういう結果になってしまうんですね。
クレームということに関して言うと、神野織物がオリジナルプリントタオルの依頼を受けるお客様のなかには大手企業様がたくさんいらっしゃいます。そういったお客様からクレームが入るということは、私どものような小さな会社などあっという間に吹き飛んでしまうことを意味しています。そして、それは神野織物が依頼しているタオル工場、プリント工場も同様です。そのため、私どもは絶対にクレームを出さないという方針で、仕事を進めております。
良い物を作って、お客様に満足していただく。
やっぱりそれが物づくりの基本ではないでしょうか。