プリントのオリジナルタオルができるまでの製作工程

さて、これまでプリントタオルの仕上がりや、プリント技法、塗料について説明をしてきましたが、ここで実際にプリントタオルはどういった工程で出来上がるのかについて少しお話をしていきたいと思います。

商品によって作成方法は異なりますが、オリジナルタオルを作る場合最初の工程として、糸を織機にかけてパイルの生地を作ることから始まります。
実はこのときに、糸に糊付けを施しています。
こうしておかないと、きっちりとタオル時として織り上げられないからなんですね。
こうして、パイル生地が出来上がります。

次に、シャーリングの場合ですが、シャーリングの工程が入ります。
これは、「パイルとシャーリング」のところでも説明しましたが、パイル生地の輪になっている部分を均一に切り取る(というより刈り取る)作業です。
パイルには、この工程はありません。

ここまで終了して、プリントの作業に入ります。
このプリントの工程なんですが、使っている塗料で違ってきます。
顔料プリントの場合は、そのままプリントして定着させるのですが、染料プリントは、熱を加えることで定着発色するので、余分に工程が必要となります。

具体的には、

①    プリントする。
②    蒸す(100℃~120℃)
※この蒸す工程で、染料が定着発色します。
③    定着させる。
④    洗う。

という感じになります。

実はこの工程が結構難しくて、設定温度の+-何度で通すといった、状況に応じての微調整が必要になります。

少し面白い話をしましょう。
ご紹介したこれらの製法は、日本の技術や環境では慣れてしまえば何でも無いことなのですが、中国では熱源は国が管理しているため、昼食時や夕食時など熱源の使用が集中するときや、その他もろもろの理由で安定しないことが多いため、温度維持が難しいようです。
日本との合弁企業や日本資本の工場は、ボイラーを持って営業しているそうですが、中国国営企業では、染料プリントは今でも苦手です。
そのため、値段だけを見て中国国営企業に染料プリントを依頼すると、後々トラブルにつながりかねません。

話を元に戻しましょう。
プリントが終了したタオルは、最終の仕上げとしてヘム縫いの工程に入ります。
これはタオルのフチをミシンで縫う作業になります。

こうして、プリントタオルが出来上がるのですが、私が知っている限りだと、コスト削減のため、工程を一部省いている業者もあるようです。
もちろん、工程を省略してしまうと、プリントの仕上がりが良くなりません。

工程が増えるということは、そのままコストには跳ね返ってしまうのですが、お客様の満足度を考えると、決してないがしろには出来ないことでもあるのです。

 

「シルクスクリーンプリントとオフセットプリント」 オリジナルタオルの定番プリントタオルについて

タオルプリントの方法としては、シルクプリントとオフセットプリントの2種類があります。
主にプリントタオルで使われるのが、シルクプリントで、名入れタオルに使われているのがオフセットプリントです。

プリントタオルで使用するシルクプリントは、日本の友禅染・型染の型紙からヒントを得たイギリス人技師が、絹を使った印刷版を作ったのが始まりと言われています。絹(シルク)を使った印刷版(スクリーン)なので、シルク印刷とか、スクリーン印刷と呼ばれています。

シルク印刷の最大の利点は、どんな物にも印刷が出来ることです。
一説によると「水と空気以外なら何でも」と言われるぐらい汎用性の高い技法でもあります。
それゆえ、タオルのように完全な平面ではない物に印刷するには向いていると言えます。
また、多色刷りにも強いのがシルクプリントの特徴です。
多色のシルクプリントは、タオルの場合日本製はほとんどがオートですが、版を持ち上げてプリントするため、手作業で印刷する事も可能です。
Tシャツのプリントはこの手法を使うメーカーも多いようですね。
Tシャツの場合、プリントする範囲が限られているのと、生地自体が平面でシッカリしている物が多いので、プリントのインクで生地が縮んで次のプリントをするときに位置がずれるということは、まあありません。

タオルの場合は、オートの台(ベルトコンベアみたいな)に糊を付けてシッカリ固定するため 版がずれて色が重なることを防いでいます。
しかし、この工程を省いているところもあるので、そういうところだと品質面で問題が出やすいとも言えます。

それから、中国製の場合は間違いなくシルクプリントです。
手作業でTシャツのプリントみたいにやっている所が多いので、いい加減な工場だと、版ずれを起こしてしまいますから、よほど信頼のおける工場でないと、後々大変だと思います。
神野織物では、原則的に国内業者に依頼しています。

名入れタオルで多く使われているオフセット印刷は、一般的には平板印刷とも呼ばれ、平たい板の上に水が馴染む部分とはじく部分を加工しておきます。
こうしておいて、インクをその板にのせると、水が馴染む部分にだけインクが残り、それがプリントされるという仕組みになっています。
現在ではPS版と呼ばれるアルミ製の物が主流ですが、樹脂製の物も使われています。

樹脂製の物は、まるでハンコのようにペッタン、ペッタン押して印刷する方法です。
このやり方ですと、PS版のように細かい表現には弱いのですが、水を使わないので生地を汚したり、痛めたりする心配がありません。そのため、神野織物では、細かい表現の少ない名入れタオルのプリントについては、基本的に樹脂版を使用します。

機械自体はPS版と同じ機械を使いますので作業効率は落ちませんし、こちらの方がシルクプリントに比べ1色或いは2色までなら早くできます。このオフセットプリントの機械ですが、PS版や樹脂版をつけたローラーが行ったり来たりしてタオルにプリントします。
1枚プリントする毎にプリントしたタオルを取って新たに刷り位置にタオルの端だけセッ
トするやり方でとっても根気と手間が掛かります。ローラーが行ったり来たりするので
一応オートではありますが、基本は手作業です。
シルクプリントで名入れタオルをプリントする事も可能なんですが、一度版を持ち上げて新たにタオルをセットしてから印刷しますので、オフセットより時間が掛かるため、効率的ではありません。

その他に、名入れタオル専用の一色だけプリントする機械もあります。
これだと素人でもプリントは可能ですが、それでもオフセットプリントの熟練のスピードにはかないません。ちなみに、神野織物ではこの方式は今の処使っていません。

まとめ

シルクプリント
・水と空気以外はプリント出来るため、平面でないタオル印刷には向いている。
・比較的コストが高くなる。
・プリントタオルは基本的にシルクプリント。

オフセットプリント
・機械化が進んでおり、キレイにプリント出来る。
・シルクプリントに比べてコストが安い。
・名入れタオルは基本的にオフセットプリント。

 

オリジナルバンダナ

オリジナルバンダナ

オリジナルバンダナ



バンダナの製造方法、特徴

その1 「バンダナの製造方法」

バンダナといえば、用途は色々です。レストランやカフェなんかで、スタッフが頭に巻いたりしていますが、その他にも、バイクに乗る人が首に巻いていたり、ピクニックのランチを包んだりしますよね。変わったところでは、自動車のシートのヘッドレスト(頭があたる部分)に巻きつけている人もいました。まあ、これは実用と言うよりファッションでしょう。

確かにバンダナは、ハンカチよりも大きく、丈夫な生地なので、頭や首に巻いたりも出来るし、ちょっとした風呂敷代わりにも使うことが出来ます。
そして、色もカラフルだったり、柄がついていたりするので、ちょっとオシャレなアイテムだとも言えますよね。

そんなバンダナですが、どこで生まれて、どう作られてきたのでしょう?
ちょっと気になって調べてみました。

バンダナの起源は、インドで絹のハンカチに柄をつけるため、絞り染めを施したものが、ヨーロッパに渡って普及したという説と、メキシコの伝統工業だった木綿の加工品が、アメリカに渡って、カウボーイたちの首に巻くアイテムとして広まったという説があるようです。元々、綿製品をオシャレに加工したものですから、その両方の説それぞれ正しいのではないでしょうか?

オーダーメイドのバンダナは、基本は木綿生地になります。
最近では、ポリエステルのような化繊も増えてきているようですね。
バンダナで使う生地は、コンパスと呼ばれている物が標準です。
コンパスの素材は木綿ですが、一般的なサイズとしては、53×53センチとなります。もちろん、他にもサイズはあります。例えば大判として66×66センチ、70×70センチといった物もあります。コンパスの他に厚手のキャンブリックと薄手のローンといった物もあります。

実際に作る時の生地の幅は約1メートルちょっと。
53×53センチなら、横並びで2枚作れるということになります。

これが、66とか70だと、2枚取とれないので、1枚とって残りがロス(捨てる)部分となります。
生地を有効利用できないわけですから、その分、価格が高くなるというわけですね。

次に、バンダナのプリントですが、顔料によるスクリーンプリントになります。
ただし、この顔料なんですが、タオルの物とは違い、高級な顔料を使用しています。
具体的にいうと、非常にサラサラしていて、生地によくなじみます。
バンダナが、顔料プリントを施したタオルのようにゴツゴツしないのは、質の違う顔料を使っているからなんですね。

バンダナといえば、ペイズリー柄のような、同じ模様を前面にプリントした物が一般的ですが、こちらも技術進歩によりタオル同様色々なデザインが印刷出来るようになりました。
特に最近では写真の画像なんかもプリント出来たりしますから、バンダナについてもデザインの自由度が随分と広がったなあと感じています。

その2 「賢いオリジナルバンダナの作り方」

さて、それでは、バンダナを作る際に、どのようなことに気をつければ、一番効率的に作るのでしょうか?
コストの面を中心に考えていくことにしましょう。

やっぱり効率よく作るには、ロスを作らないことが一番だと思います。
先ほども言いましたが、バンダナの生地の幅は約1メートル。
ここからバンダナを作る際、効率的なのは捨てる生地が出ないことになります。
となると、単純計算で50センチ相当のバンダナを2枚ずつ作れることになりますから、それよりも大きいサイズや逆に小さいサイズだと、捨てなければいけない生地が増えることになります。
そこを考えると、53センチサイズのバンダナを作ることが一番ロスのない方法ということになりますね。

あとは、ロットの問題です。
バンダナは、タオル以上にロット数が大きくなります。
通常の場合、400枚が最低ロットと言われています。
この数が、業者もお客さんも損の無い経済ロットになります。
なので業者によっては、「400枚以下はお作り出来ません。」ときっぱり言い切るところもあるくらいです。
弊社の場合は、100枚くらいならお受けすることが可能です。
しかしその場合、オリジナルのバンダナ1枚あたりの単価は、400枚作成時の3倍に跳ね上がります。
コストが割高になっても良いということでしたら、お受けすることも出来ますが、それ以前にバンダナでなければいけないか?ということを考えていただくのも一つの方法だと思います。

その3 「バンダナに変わるもの」

今までの説明を振り返ると、バンダナはオリジナルプリントには、あまり向いているとはいえないかも知れません。
ただ、私たちのイメージとして、「バンダナをオリジナルグッズで作るといいんじゃないか」という部分があり、それが「バンダナを作りたい」という思いに変わっているのだと思います。

だったら、バンダナよりもオリジナルプリントに向いていて、同様の役目を果たす物を採用すれば良いのではないでしょうか?
まず、オリジナルプリントを施したバンダナの使用目的は、頭に巻いたり、首に巻いたりと、体につけることが一番多いのではないかと思います。
お弁当を包むという用途には、あまり使われないのではないでしょうか。
であれば、同様に頭に巻いたり、首に巻いたり出来て、尚且つ小ロットにも対応し、コスト的にもバンダナより有利なアイテムを選択するというのも悪くはない話です。

では、そういったアイテムに何があるのか?ということなのですが、今までも少しお話しました通り、手ぬぐいがバンダナの代役を果たしてくれます。
「手ぬぐい」のページでもご紹介しているのですが、Jリーグのサポーターグッズとして、プリント手ぬぐいのご注文もよくいただきます。
スタジアムでは、サポーターのみなさんがちょうどバンダナのようにこの手拭いを頭に巻いたりしているのを拝見しました。

手ぬぐいなら、もっと少ないロットで可能ですし、それこそプリント手拭いであれば、バンダナにプリントするのと、雰囲気的にはほぼ同じです。
違うのは生地の厚さと、真四角なのか、細長いかの違いぐらいです。

プリントタオル

 

プリントのオリジナルタオル

プリントのオリジナルタオル



オリジナルプリントタオルとはどんな物か?そしてそれは、どうやって作られているのか?

「泉州(大阪)と今治」

今、国内のタオル生産拠点としては、大阪の泉州と、四国の今治が2大拠点となっています。この泉州と今治の違いでも、出来上がるタオルは変わってきます。

少し専門的な話になりますが、タオルは縦糸と横糸の組み合わせで織り上げていくのですが、縦糸と横糸の本数が泉州と今治では根本的に違います。

泉州はおおよそ1インチあたり縦糸32本、横糸35本なのですが、これはSP用の名入れタオルを織るのに、一番適したラインです。
実はタオルの特性上、縦糸が少ないと、糸が抜けやすい傾向があります。
よく粗品で貰ったタオルの糸がほつれてきているのを見たことがありますよね?
あれは、この縦糸と横糸のバランスを欠いたタオルだと思って間違いないでしょう。

パイルの場合だと、糸がほつれてきても糸の輪が広がるだけですが、シャーリングだと抜け毛のように抜け落ちてしまいます。そこで、シャーリングの場合は、縦糸40本程度、横糸50本程度で織り上げます。ただ、それでもまだまだタオルとしては目が粗いと言わざるを得ません。
目の粗いタオルは、オリジナルプリントのタオルには不向きです。ザラザラの紙とツルっとした紙のどちらがキレイに絵がかけるか、そう考えていただくと一目瞭然ですよね。そのため、神野織物では、泉州の工場には名入れタオルに特化して発注をしています。

一方、今治はどうでしょう?
こちらは、1インチあたり縦糸45本以上、横糸45本以上なので、密度は高くなります。
それゆえ、プリントタオルに向いているのは、今治ということになります。
神野織物でも、プリントタオルに関しては、今治に発注をしています。
ちなみに私でもが作るプリントタオルは、縦糸、横糸の量を相当UPしての製造をお願いしています。
このように、製造拠点によっても質が違います。
それを知らずに、コスト面だけを考えて、泉州にオリジナルプリントを依頼すると、キレイなプリントが仕上がらなかったり、今治に名入れタオルを依頼すると、泉州よりも割高になったりします。
それぞれ得意分野があるわけですから、それをうまく使い分けるノウハウも必要というわけなんですね。

「製造工程におけるコストダウン」

さて、先ほどタオル製造の最低ラインとして、縦糸32本程度、横糸35本程度というお話をしました。タオルの材料費といえば糸ですから、この糸が少なければ少ないほど、材料費は安くなります。材料費が安いということは、その分利益が増えるというわけですから、このあたりをうまく利用する業者もいます。また、縦糸は32本のままにして、横糸だけを増やしておくというところもあります。

前にも言いましたが、タオルというのは目方で換算しますので、横糸が増えていれば当然目方も増えます。ということは、他の縦糸が多いタオルと同じ重さのタオルを作ることが出来るというわけなんですね。

と、これだけなら「同じ重さなら同じだけ糸を使っているということだから、問題はないんじゃないか?」と思いますよね?
でも、縦糸と横糸のバランスが悪いタオルというのは、どうしても糸が抜けます。それどころか、洗うと型崩れしたり、使い心地も悪かったりするのです。そのため、こういったタオルは、クレームになることが良くあります。依頼する側は、タオルの縦糸が何本、横糸が何本などということは知らないケースがほとんどですから、コスト重視で依頼をすると、こういう結果になってしまうんですね。

クレームということに関して言うと、神野織物がオリジナルプリントタオルの依頼を受けるお客様のなかには大手企業様がたくさんいらっしゃいます。そういったお客様からクレームが入るということは、私どものような小さな会社などあっという間に吹き飛んでしまうことを意味しています。そして、それは神野織物が依頼しているタオル工場、プリント工場も同様です。そのため、私どもは絶対にクレームを出さないという方針で、仕事を進めております。

良い物を作って、お客様に満足していただく。
やっぱりそれが物づくりの基本ではないでしょうか。