高級オリジナルタオル「ジャガードタオル」の品質を保つためには?

ジャガードタオルの用途で多いものは、サッカーのJリーグに代表されるプロスポーツチームの応援グッズや、ミュージシャンのコンサートなどで販売されるグッズになります。

この2つに共通していることは、「ブランド意識が高い」ということです。
ブランド意識が高いということは、それだけブランドを大切にしているということになりますから、そのロゴマークやデザインというものにはこだわりがあります。なので、きちんとした品質で作り上げなければなりません。

この「ブランド意識」は、よくいうルイ・ヴィトンやエルメス、メルセデス・ベンツといったブランドのファン心理と同じです。
その物を所有しているというステータスに加えて、その商品の品質が高いということもとても大切なのです。「たかがタオル」なのですが、そこにアーティスト やチームのロゴが入るだけで、ファンにとっては、非常に価値の高い商品になるのです。もちろん、提供する側もそのことはよく心得ていますから、こちらに対 する要求も厳しい部分があります。でも、それに応えてこそ、プロであると私は思います。

話が脱線してしまいました。
さて、それではどうやって高品質のオリジナルタオルを作っているのか?それを説明しましょう。

再 三お話しています通り、現在ジャガードタオルは高性能の機械を使って製作するのが主流です。それに加えて、型データをコンピュータで作るというのも、当た り前のことになってきています。この2つの組み合わせ、つまりハイテクの部分が高品質を生み出す一つの要因となっています。

以前お話しまし たとおり、高性能の機械でなくても、またパソコンでデータ作成できなくてもジャガードタオルを作ることは可能です。しかし、手間やロス、仕上がりのキレイ さを考えると、品質的にはやはり前者の方が格段に上です。しかも、手作業が経れば減るほど人的ミスも減りますから、こちらを考えても品質に対する貢献度は 大きいと思います。

2つ目は材料。
これも前に述べましたが、糸の質によって品質はバラツキます。一本一本が、均一な糸であればあるほど、タオルの出来上がりはキレイになります。まあ、質の 良い材料を使えば、出来上がりの品質が高いのは当たり前のことなのですが、利益を優先させてしまうとどうしてもこの辺がおざなりになってしまいます。良い 材料を使うと、その分コストには跳ね返りますが、私はジャガードという分野に関しては特にここは譲れない部分だと考えています。

3つ目は職人。
ジャガードは、機械で織り上げます。
普通に考えれば、機械にセットしてしまえば終わりといった感じがします。
でも、糸の張り具合や機械の調整など、人手に頼る部分も重要です。更に、型データを作る職人の質によっても随分とかわります。
これは、色々なパターンをこなした熟練者であればあるほど、細かい表現をすることが可能となります。

以 上のことを総合すると、「性能が高い機械を複数台所有し、より良い糸を使用し、腕の良い職人を抱えてる工場」に依頼することが高品質をキープする要因と言 えます。ちなみに、そういった工場は少ないということと、海外生産ではほぼ無理であろうということを付け加えておきましょう。

 

タオル屋の醍醐味である高級志向のタオル「ジャガードタオル」

ジャガードタオルは、確かにロットや生産性の問題などで、割高となってしまう商品です。
その上、機械、糸、職人の3拍子が揃わないと、より良い品質のものが出来上がりません。
利益主導で考えた場合、作る側としては積極的にやっていきたい商品とは言えないでしょう。
でも、逆に機械、糸、職人を3つをしっかりと調和させることにより、素晴らしい出来上がりの商品が生まれます。

まさに、職人の腕の見せどころであり、タオル屋の醍醐味です。

確かに、作り手も商売ですから、利益優先にならざるを得ません。
その点だけを考えていると、なかなかジャガードタオルに手を出すことは出来ないでしょう。
何と言っても、設備投資に莫大な費用が掛かります。

ジャガードの機械は、1台が数千万します。
しかも、それ1台では効率が悪くて元がとれません。複数台導入する必要があります。
加えて、型データも昔のような手書きではなく、コンピュータで作りますから、それだけでもコンピュータのハード、ソフトが必要となります。更に、それらを使いこなす人も必要となります。
この時点で、ある程度の年齢層でないと難しくなってしまいます。

そして、材料。
より良い品質の糸を使わなければなりません。つまり、材料費がかかりますから、その分利益を圧迫します。

これだけの課題を持っていながら、それでも尚且つオリジナルのジャガードタオルに積極的にトライする企業はあるでしょうか?

あります。
それは、私どもがお付き合いさせていただいている工場です。この工場は、親子2代で経営れているのですが、お二人とも、本当の意味で職人肌です。というよ り、仕事が好きで好きでたまらないといった感じを受けます。こちらが無理なお願いをしても、あれこれ創意工夫をして、クリアーしてくれますし、ときには機 械を改造してまでオーダーに応えてくれたりします。

これは単に職人としてのプライドだけでなく、この仕事にかける熱意というか、この仕事をやっているのが好きだということを表れでしょう。そこには、儲け優 先という考えは存在していません。もちろん、商売ですから、利益のことは考えてはいます。でもそればかりではなく、「良いものをキチンと作り上げる」とい う気持ちと、この仕事にやりがいを感じているからこそでしょう。
不思議なもので、そういうスタイルの会社には、仕事が集中します。もちろん、私どもとしても、「ここに頼めば大丈夫」と太鼓判を押すことが出来ます。

何度も繰り返しになりますが、ジャガードタオルはタオル屋の醍醐味です。
同時に、ジャガードをキチンと作れるということは、腕が良いという証でもあります。
こういう工場に、ジャガード以外を頼んでも、キチンと仕上げてくれるということは、言うまでもありませんよね。

 

ジャガードに向く商品・ジャガードオリジナルタオルの需要

ジャガードタオルというものがどういった商品なのか、またどうやって作られているのかなど、ジャガードタオルについて細かい部分までお伝えできたのではないかと思っています。

さて、いよいよこの章が最終となります。

この章では、みなさんが実際にジャガードタオルを作るとき、どういった点に注意すれば、満足度の高いタオルを作ることが出来るか?という点を中心にお届けします。まあどちらかというと、これまでの所の総まとめ的な章になると思います。

まず、ジャガードに向く商品ですが、これはもうハッキリしてます。
「遠くから見て、デザインがハッキリ認識できるもの」ですね。
確かに、デザインがハッキリしないものや、名入れタオルのように、会社名や電話番号を入れてジャガードタオルを作ることは出来ます。でも、わざわざそうす る必要がありませんから、かえって無意味な結果になります。ジャガードにすることで、プリントタオルよりもコスト高になってしまうわけですから、プリント タオルで充分なものを、わざわざジャガードで作る必要はありません。

なお、「ハッキリ見える」ということになると、これは「毛違い」で作ったものということになります。

上げ落ちは、立体感は出ますが同色のため、遠くからの認識は難しいでしょう。

遠くからでもデザインがわかることでメリットのあるものと言うと、やっぱりプロスポーツチームの応援グッズであったり、コンサート会場で売っているもので あったりします。これらのタオル(あるいはタオルマフラー)は、スタジアムやホールといった巨大な施設の中にいる大勢の人が持ちます。
そのため、遠くからでもはっきりと認識できるということが、商品価値につながります。ましてや、チームやアーティストロゴというのは、とても大切なアイテムですから、しっかりと見えることは重要なファクターです。

もう一つは、「高級感を与える商品」も向いていると言えます。

こちらは上げ落ちを使った商品となりますが、上げ落ちを使うことで、タオル自体に立体感が生まれます。高級ホテルのタオルなどに用いられるのも、こういった考えがあってのことでしょう。

確かに、織り方だけで立体表現をするというのは、高級感が漂うものです。
もしあなたが、ご自分の扱うブランドが高級路線であるのなら、上げ落ちで表現されるのも一つの手法だと思います。

それから、これは毛違いのオリジナルタオルの 話になりますが、毛違いの場合はタオル表面のパイルはそのまま残ります。ということは、そのタオルは吸水性が高いということになります。よくスポーツブラ ンドが、自社のロゴの入ったタオルをジャガードで作っているのも、実のところはジャガードタオルの機能が給水性にすぐれているからなのでしょう。

「2色毛違いジャガード織り」オリジナルタオル

上げ落ちに続いてご紹介するのは、「毛違い」という手法です。
上げ落ちが、凹凸を使ってデザインを表現しているのに対し、毛違いは糸の色を変えることによってタオルにデザインを表現します。

よく使われている物として、プロスポーツチームの応援グッズであるタオルマフラーや、スポーツメーカーのロゴの入ったタオルなどがあります。それから、音 楽アーティストのコンサートグッズでも良く使われますね。弊社も、某Jリーグチームのタオルや某有名アーティストのモノを作らせていただいてます。

毛違いの特徴は、色を変えてしまうので、デザインが見やすいということです。そして、裏から見ても毛色が違うため、デザインがはっきりと見て取れます。それゆえ、スタジアムやコンサート会場で使用するのに適しているといえるでしょう。
それから、上げ落ちと違い、全面的にパイルで織り込むことが出来ます。
そのため、吸水性(パイルは吸水性が高い)も良く、タオル本来の持ち味も十二分に発揮してくれます。スポーツメーカーが自社ブランドのタオルを毛違いで作るのには、こういったことが理由の一つであったりもします。

毛違いも上げ落ち同様、型データを作成し、そのデータを元に機械が織り上げます。
同時に6色の糸を使い分けることが可能なんですが、裏側から見た場合、デザインがぼやけてしまうので、あまりおすすめしません。
やっぱり、2色が一番しっくりとくると思います。

デザインが目立つことから、最近人気の高い毛違いですが、デメリットもあります。
毛違いは、色染めした糸を2種類~6種類使用して織り込みますが、この色染めした糸が問題になってきます。

オリジナルタオルには最小の製造ロットというものが存在しますが、糸にも同様に最小ロットがあります。この糸のロットのバラツキが問題になってくるわけです。
たとえば、白地に赤いロゴデザインで毛違いのジャガードタオルを作るとしましょう。

どう考えても、白い糸が大半で赤い糸は少しで済みます。でも、白い糸も赤い糸も染め上げの最小ロットは同じです。それに加えて、タオル自体のロットも考慮する必要があります。
そのため、余分な糸が多く出来たり、捨てる部分が多かったりと不経済な結果になることもあります。つまり、最適な分量を算出するのが難しい方法でもあるのです。

こういった点から、ジャガードは小ロット生産に向かず、どうしても多目のロットでの受注となってしまいます。
もっと世の中にジャガードのタオルを広めようと思うなら、小ロット生産の実現が重要な鍵となります。弊社としても、それが今後の課題だと思っています。

 

その2「毛違いのポイント」

毛違いは、糸の色を変えることによってデザインを表現する方法ですが、一度に何色の色を使うことが出来るのでしょうか?

これは機械の性能上、6色までと言われています。
でも、実際問題として、6色を同時に使うのはおすすめで出来ません。6色も使うとなると、それだけ染め糸の種類も増えます。そうなると、最初のころにお話 しました、ロットの問題が顕著になってきます。そしてそれは当然コストに跳ね返ってきます。それに、6色使ったからと言って、デザインがより明確になると は限りません。むしろ、逆に見づらくなってしまうケースがほとんどでしょう。

では、何色なら良いのでしょうか?

私はズバリ、2色が最適だと思っています。
3色というのを作ったこともあります。
あるメーカーのロゴをあしらったスポーツタオルだったのですが、基本2色でデザインのワンポイントにもう1色を使ったものでした。仕上がりはそれなりにう まく行ったのですが、毛違いタオルのもう一つの特徴でもある、裏面から見てもデザインが認識できるという点がうまく行きませんでした。

そういった経験も踏まえて、2色まででおすすめしております。もちろん、3色でも6色でも可能なのですが、「デザインを目立たせる」ということに重きを置くのであれば、コストパフォーマンスや品質を考えるとやはり2色が無難だと思います。
余談ですが、1枚のタオルを2分割、3分割するイメージで、それぞれ2色ずつで織り上げる方法もあります。

こ れですと、織るときは2色の糸しか使いませんが、それぞれ分割した面で違う色を使えるので、2色×分割面の色使いが可能です。(例えば、2色×3分割なら 6色といった具合に)こういった方法も、実際にタオル作りの経験が豊富で、機械を熟知しているからこそ出来る技と言えるでしょう。

 

「上げ落ち(単色ジャガード織り)」オリジナルタオル

それではここで、実際のジャガード織りの手法について説明していきます。
まずは「上げ落ち(単色ジャガード織り)タオル」です。

上げ落ちは簡単にいうと、織り込むときに「上に上げる部分」と「落として平にする部分」を作ることにより、タオル表面に凹凸を作り、その凹凸で文字やデザインを表現する方法です。

この上げ落ちは昔から良く使われる方法で、比較的安価で作ることが出来ます。

ジャガードでタオルを織り込むには、機械を使うのですが、昨今では電子化されているため、表現したい文字なりデザインを型データとして作成することから始 まります。このデータなんですけど、イメージとしては、方眼用紙のように縦横の線を引いたようなところに、塗りつぶす升目と塗りつぶさない升目を作って、 柄を表現します。パソコンやワープロで外字というのを作られた方ならお分かりになると思うのですが、升目を塗る塗らないで文字が出来上がります。

パソコンで、文字をすごく大きく拡大すると、文字がギザギザしています。なので、実際に織り込まれたジャガード製品も、厳密にいうと曲線ではなく、直線で 表現されているということになります。実は、ジャガードはこうした細かい表現を駆使して作られるわけですから、機械の性能に左右される部分は大きいです。 そのため、性能の良い機械を所持しているか、いないかでジャガードタオルを作れるか作れないかと言ってもいいくらいです。

でも、この機械、すごく高価なのです。しかも1台だけではあまり意味がなく、複数台あって始めて効率の良い生産が出来るので、どうしてもそういった環境の 整った工場に依頼することになります。この辺の事情を知らないまま発注してしまうと、後々困ることになるので、注意が必要です。
ちなみに弊社は、ジャガード織りに強い工場を知り尽くしていますので、間違いはないと自負しております。

 

Pages: 1 2 3 4 5 Next