まず最初にお話したいのは、基本中の基本、タオルの生地についてです。
タオルというのは、糸を織機で紡いで作りますが、その仕上がり方が2種類あります。
それが「パイルとシャーリング」です。
パイルは、タオルの表面が輪のようになっているもので、シャーリングは、糸の一本一本が分かれているものです。実は、それぞれまったく別物というわけではありません。基本的に、タオルはまずパイル上で織りあがります。ただ、パイルの状態では、タオル表面が均一とは言えません。そのため、このままプリントしてしまうと、キレイに仕上がらなくなります。
そこで、表面を均一化するために、パイルの部分をカットして整えます。
これがシャーリングです。
つまり、パイルで出来上がったものを一手間加えたのがシャーリングということですね。
この作業を行うことで、生地の表面が均一化され、キレイなプリントが可能となります。
この2種類なんですが、それぞれ長所と短所があります。
まずパイルの方から説明をしますと、元々出来上がりの素材なので、一番コストが低いということになります。それと、余分な手間が要らないためか、コスト重視のタオルはパイルが主流ですね。
パイルのもうひとつの長所として、吸水性が上げられます。
表面の輪のところに水が溜まるので良く水を吸い取るというわけなんですね。
そういう意味では、タオルの機能だけを考えると、パイルは最適と言えるでしょう。
欠点はというと、表面が均一でないこと。そのために、プリントタオルとしては、印刷がやりにくいということが言えます。これは、平面の紙に印刷するほうが、デコボコした紙に印刷するよりもはるかにやりやすく、出来ばえがいいということを思い出して頂ければお分かりになるでしょう。
次にシャーリングですが、長所としては均一にカットするので、表面がとてもキレイに仕上がっているということがあげられます。ということは、パイルの逆でプリントがやりやすいということになりますね。
逆に欠点は、パイルのように水に接する面積が少ないため、吸水性が落ちることと、わざわざカットするという工程が入るため、コスト高になりやすいということです。
それと、パイルになっている状態からカットしますから、その分のボリュームが減ります。
そのため、パイルのタオルよりも薄くなるため、ボリューム感に欠けるということも言えるでしょう。(実際には、これを補う為に、カットする分を計算して生地を作ります)
このように、パイル、シャーリングとそれぞれ特徴がありますが、神野織物ではプリントの仕上がり品質を考慮して、シャーリングをお勧めしています。実際のところも、当社の商品の9割以上がシャーリングになっています。
まとめ
パイル
・低コストで作ることが出来る。
・水分を良く吸収する。
・プリントがキレイに仕上げづらい。
シャーリング
・(パイルに比べ)少し割高になる。
・(パイルに比べ)水分の吸収が劣る。
※ただし、裏面はパイルなので、吸水性は高いです。
・プリントがキレイに仕上がる。
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賢いオリジナルミニハンカチの作り方
どうすればコスト面、出来栄えともに満足のいくミニハンカチが作れるのかについてお話していきましょう。
まず、どの商品でも問題になるのがロットですが、ミニハンカチについては、元々のバスタオル大の状態で換算しますので、最終的なロット数はかなり多くなります。
通常、10ロットを目安としますが、この10ロットというのは、バスタオル大の状態で10ロットということになります。
と いうことは、バスタオル大の物が1ダース(12枚)×10ロットで、120枚になるのですが、この1枚のバスタオルからミニハンカチが12枚取れるとし て、120×12で1440枚のミニハンカチが出来る計算になります。このため、以前は「1000枚以下の注文は受け付けない」という所が多くありまし た。神野織物は500枚程度から受け付けしております。(条件により、割高になることもあります)さすがに、1000枚となると、普通のクラブやサークル のオリジナルグッズにするには枚数が多すぎますよね。
そこで、ミニハンカチの用途として一番良いのが、「販促グッズ」として作ることです。
販促グッズであれば、1000枚単位というのも、ごくごく当たり前の世界ですし、何といっても1枚あたり100円程度で作れるのが魅力的です。
実 は、ミニハンカチはプリントを目立たせるためにシャーリング(タオルの表面をカットして揃える)で作るのが基本です。ところが、シャーリングは、水分の吸 収が良くないため、普通のタオルに比べて実用性が若干落ちてしまいます。でも、販促用と割り切れば、その問題もさほど苦にはなりません。
他 のレポートで、「中国産のタオルはおすすめできない」と言って来ましたが、ミニハンカチだけは別です。なぜなら、1枚あたりの大きさが小さいため、品質的 な問題が出にくいんですね。中国産を使うだけで、2分の1ほどの原価で作成が可能となるので、販促用としてはとてもありがたい話でもあるのです。
ただし、やはりここでも今まで述べてきましたように、日本企業が出資している中国の現地法人もしくは、日本企業の中国工場でないと、作成を依頼いたしません。
オリジナルタオル記事 筆者から
「オリジナルプリントタオルといっても、所詮はタオルじゃないか」
そういうご意見もあると思います。
何といっても、タオルは生活必需品。顔や手を洗ったときに使ったり、風呂上りに使ったり、スポーツで汗をかいたときに使ったりと、水分や汗をふき取ってナンボです。
しかし、そんな毎日当たり前に使い、普通に目にするものだからこそ、メッセージを込める意味があると思うのです。販促だけを考えても、新聞広告やDMよりも目にする機会の多いタオルに、企業名やブランドロゴを入れるだけでも、充分効果が期待できると思うのです。プリントタオルをお作りになられたお客様からも、その後の営業活動が非常にしやすくなったというお話も聞きます。
ということは、もっと積極的にプリントタオルを活用すれば、充分販促効果が期待できると思いませんか?それだけの可能性を、オリジナルプリントタオルは秘めているのです。だからこそ、もっと使ってもらえるタオル、もっと見てもらえるタオル作りをしていかなければならないと思います。
タオル自体の質がよく、そこにしっかりとした形でネームやメッセージ、マークなどがプリントされていたなら、そのタオルはもっと人に見てもらえることでしょう。
オリジナルプリントタオルは、大量生産の既製品ではありません。世界に一つしかない、オリジナルなタオルです。それだけに、メッセージ性は強いはずなのです。
そこにもっと多くの方が気づいて「プリントタオル作ってみようか?」と思っていただければ幸いです。
プリントタオル
オリジナルプリントタオルとはどんな物か?そしてそれは、どうやって作られているのか?
「泉州(大阪)と今治」
今、国内のタオル生産拠点としては、大阪の泉州と、四国の今治が2大拠点となっています。この泉州と今治の違いでも、出来上がるタオルは変わってきます。少し専門的な話になりますが、タオルは縦糸と横糸の組み合わせで織り上げていくのですが、縦糸と横糸の本数が泉州と今治では根本的に違います。
泉州はおおよそ1インチあたり縦糸32本、横糸35本なのですが、これはSP用の名入れタオルを織るのに、一番適したラインです。
実はタオルの特性上、縦糸が少ないと、糸が抜けやすい傾向があります。
よく粗品で貰ったタオルの糸がほつれてきているのを見たことがありますよね?
あれは、この縦糸と横糸のバランスを欠いたタオルだと思って間違いないでしょう。
パイルの場合だと、糸がほつれてきても糸の輪が広がるだけですが、シャーリングだと抜け毛のように抜け落ちてしまいます。そこで、シャーリングの場合は、縦糸40本程度、横糸50本程度で織り上げます。ただ、それでもまだまだタオルとしては目が粗いと言わざるを得ません。
目の粗いタオルは、オリジナルプリントのタオルには不向きです。ザラザラの紙とツルっとした紙のどちらがキレイに絵がかけるか、そう考えていただくと一目瞭然ですよね。そのため、神野織物では、泉州の工場には名入れタオルに特化して発注をしています。
一方、今治はどうでしょう?
こちらは、1インチあたり縦糸45本以上、横糸45本以上なので、密度は高くなります。
それゆえ、プリントタオルに向いているのは、今治ということになります。
神野織物でも、プリントタオルに関しては、今治に発注をしています。
ちなみに私でもが作るプリントタオルは、縦糸、横糸の量を相当UPしての製造をお願いしています。
このように、製造拠点によっても質が違います。
それを知らずに、コスト面だけを考えて、泉州にオリジナルプリントを依頼すると、キレイなプリントが仕上がらなかったり、今治に名入れタオルを依頼すると、泉州よりも割高になったりします。
それぞれ得意分野があるわけですから、それをうまく使い分けるノウハウも必要というわけなんですね。
「製造工程におけるコストダウン」
さて、先ほどタオル製造の最低ラインとして、縦糸32本程度、横糸35本程度というお話をしました。タオルの材料費といえば糸ですから、この糸が少なければ少ないほど、材料費は安くなります。材料費が安いということは、その分利益が増えるというわけですから、このあたりをうまく利用する業者もいます。また、縦糸は32本のままにして、横糸だけを増やしておくというところもあります。前にも言いましたが、タオルというのは目方で換算しますので、横糸が増えていれば当然目方も増えます。ということは、他の縦糸が多いタオルと同じ重さのタオルを作ることが出来るというわけなんですね。
と、これだけなら「同じ重さなら同じだけ糸を使っているということだから、問題はないんじゃないか?」と思いますよね?
でも、縦糸と横糸のバランスが悪いタオルというのは、どうしても糸が抜けます。それどころか、洗うと型崩れしたり、使い心地も悪かったりするのです。そのため、こういったタオルは、クレームになることが良くあります。依頼する側は、タオルの縦糸が何本、横糸が何本などということは知らないケースがほとんどですから、コスト重視で依頼をすると、こういう結果になってしまうんですね。
クレームということに関して言うと、神野織物がオリジナルプリントタオルの依頼を受けるお客様のなかには大手企業様がたくさんいらっしゃいます。そういったお客様からクレームが入るということは、私どものような小さな会社などあっという間に吹き飛んでしまうことを意味しています。そして、それは神野織物が依頼しているタオル工場、プリント工場も同様です。そのため、私どもは絶対にクレームを出さないという方針で、仕事を進めております。
良い物を作って、お客様に満足していただく。
やっぱりそれが物づくりの基本ではないでしょうか。