「2色毛違いジャガード織り」オリジナルタオル

上げ落ちに続いてご紹介するのは、「毛違い」という手法です。
上げ落ちが、凹凸を使ってデザインを表現しているのに対し、毛違いは糸の色を変えることによってタオルにデザインを表現します。

よく使われている物として、プロスポーツチームの応援グッズであるタオルマフラーや、スポーツメーカーのロゴの入ったタオルなどがあります。それから、音 楽アーティストのコンサートグッズでも良く使われますね。弊社も、某Jリーグチームのタオルや某有名アーティストのモノを作らせていただいてます。

毛違いの特徴は、色を変えてしまうので、デザインが見やすいということです。そして、裏から見ても毛色が違うため、デザインがはっきりと見て取れます。それゆえ、スタジアムやコンサート会場で使用するのに適しているといえるでしょう。
それから、上げ落ちと違い、全面的にパイルで織り込むことが出来ます。
そのため、吸水性(パイルは吸水性が高い)も良く、タオル本来の持ち味も十二分に発揮してくれます。スポーツメーカーが自社ブランドのタオルを毛違いで作るのには、こういったことが理由の一つであったりもします。

毛違いも上げ落ち同様、型データを作成し、そのデータを元に機械が織り上げます。
同時に6色の糸を使い分けることが可能なんですが、裏側から見た場合、デザインがぼやけてしまうので、あまりおすすめしません。
やっぱり、2色が一番しっくりとくると思います。

デザインが目立つことから、最近人気の高い毛違いですが、デメリットもあります。
毛違いは、色染めした糸を2種類~6種類使用して織り込みますが、この色染めした糸が問題になってきます。

オリジナルタオルには最小の製造ロットというものが存在しますが、糸にも同様に最小ロットがあります。この糸のロットのバラツキが問題になってくるわけです。
たとえば、白地に赤いロゴデザインで毛違いのジャガードタオルを作るとしましょう。

どう考えても、白い糸が大半で赤い糸は少しで済みます。でも、白い糸も赤い糸も染め上げの最小ロットは同じです。それに加えて、タオル自体のロットも考慮する必要があります。
そのため、余分な糸が多く出来たり、捨てる部分が多かったりと不経済な結果になることもあります。つまり、最適な分量を算出するのが難しい方法でもあるのです。

こういった点から、ジャガードは小ロット生産に向かず、どうしても多目のロットでの受注となってしまいます。
もっと世の中にジャガードのタオルを広めようと思うなら、小ロット生産の実現が重要な鍵となります。弊社としても、それが今後の課題だと思っています。

 

その2「毛違いのポイント」

毛違いは、糸の色を変えることによってデザインを表現する方法ですが、一度に何色の色を使うことが出来るのでしょうか?

これは機械の性能上、6色までと言われています。
でも、実際問題として、6色を同時に使うのはおすすめで出来ません。6色も使うとなると、それだけ染め糸の種類も増えます。そうなると、最初のころにお話 しました、ロットの問題が顕著になってきます。そしてそれは当然コストに跳ね返ってきます。それに、6色使ったからと言って、デザインがより明確になると は限りません。むしろ、逆に見づらくなってしまうケースがほとんどでしょう。

では、何色なら良いのでしょうか?

私はズバリ、2色が最適だと思っています。
3色というのを作ったこともあります。
あるメーカーのロゴをあしらったスポーツタオルだったのですが、基本2色でデザインのワンポイントにもう1色を使ったものでした。仕上がりはそれなりにう まく行ったのですが、毛違いタオルのもう一つの特徴でもある、裏面から見てもデザインが認識できるという点がうまく行きませんでした。

そういった経験も踏まえて、2色まででおすすめしております。もちろん、3色でも6色でも可能なのですが、「デザインを目立たせる」ということに重きを置くのであれば、コストパフォーマンスや品質を考えるとやはり2色が無難だと思います。
余談ですが、1枚のタオルを2分割、3分割するイメージで、それぞれ2色ずつで織り上げる方法もあります。

こ れですと、織るときは2色の糸しか使いませんが、それぞれ分割した面で違う色を使えるので、2色×分割面の色使いが可能です。(例えば、2色×3分割なら 6色といった具合に)こういった方法も、実際にタオル作りの経験が豊富で、機械を熟知しているからこそ出来る技と言えるでしょう。