一般の方はまずご存知ない、プリントタオル作りの裏側のお話です。
世の中には、表の世界もあれば、裏の世界もあります。
プリントタオルの世界にも、同様に一般に知られていないことが数多く存在しています。
その裏側の世界を知っているといないとでは、大きな違いになるでしょう。
プリントタオル作りに失敗しないためにも、ここは良く読んでおいてください。
「中国製か?日本製か?」
日本製なら本当に高品質なのでしょうか?
答えは、NOです。
実は中国で作っているにも関わらず、「Made In Japan」になっている商品もあるのです。
中国からタオルを輸入する際に、そのタオルが販売目的であれば、原産地表示が義務付けられます。これは、消費者保護の問題から定められていますが、この原産地表示をしなくても良いタオルがあるのです。
それが、「SP品」といわれるタオルです。「SP品」とは、セールス・プロモーション、つまり販売促進用の製品を指します。つまり、タオル自体を販売するのではなくて、会社のイメージアップや商品宣伝のための粗品みたいな扱いですね。
この「SP品」には、原産地表示がありません。
それともう一つ。通産省の決まりで、「日本国内で2工程以上の加工を行えば、日本製と表記しても良い」というのがあります。
この2つを利用して、中国産タオルを日本製にしてしまうんですね。
やり方としては、前章で説明したヘムの部分を未縫製のまま輸入し、国内でヘム縫いと袋入れの2工程を行い、日本製表記にするわけです。これはもちろん、違法ではありません。でも、タオルの生地自体はまぎれもなく中国製です。
これだけではありません。
他にも、中国でプリントまで加工を済ませてから輸入しているところもあります。
また、「日本タオル協会」とか「日本タオル工業組合」といった表示のタグをつけて輸入してくるケースもあります。
お客さんの中には、このタグだけを見て「日本製」と思う人もみえるようです。
確かに法律上は日本製なので、売る側も「日本製」と言っていますしね。
神野では、こういった商品は「日本タオル協会が認めた中国製ですよ」とお伝えしています。
また、日本製であれば、間違えなく「日本製」と表記しています。
もちろん、違法ではないので、そういうこともありかとは思うのですが、肝心の「中国製につきものの問題点」については、当然ながら解消されていません。
なので、洗えば色落ちする商品もありますし、肩崩れする商品も出てきます。
でも、買ったお客さんとしては、そういったトラブルがイヤだったから、「日本製」にこだわったにも関わらず、そういう結果が待っていたというのが実情です。
では、こういったタオルを見抜くことは出来ないのか?ということなんですが、方法が一つだけあります。
実はタオルの生地というのは、糸相場で動いています。
そのため、どこで仕入れても糸値はほぼ同じ金額になるようになっています。
そして、プリントなどの加工費もほぼ決まっていますから、同じ仕様であれば、どこに頼んでも同じような金額になるはずです。
まあ企業努力もありますから、若干の値下げは出来ると思いますが、それでも10円~20円あたりがいいところでしょう。ですから、同じ仕様で見積もりをした場合、数十円の開きが出るようなら、まず上記のようなルートを疑ってもいいと思います。
それよりも一番確実なのは、信頼できる業者に依頼することです。
神野織物は、基本的にオリジナルタオルを純国産で製造していますし、どういったところで作られているのかということも、必ずご説明しています。万が一、予算の都合で中国製を使うことがあっても、必ずその旨をお伝えし、ご了解をいただいているだけでなく、製造を委託するのも、日本企業の中国法人であるとか、日本企業の資本が入っている企業に限定しています。
「クレーム対応」
神野織物がなぜ、純国産のオリジナルタオルにこだわるか?というと、品質面もさることながら、このクレーム対応ということが、大きなファクターでもあります。
まず、何と言っても地の利ですね。
確かに中国も、飛行機を飛ばせば、1日かからずにたどり着けます。それでも、国内と海外の差というのは大きいものがあります。国内であれば、今日クレームを受け付けて、明日には解決ということも可能ですが、海外だとそうは行きません。それに、中国の工場というのは、大量の製品を短納期で作ることは得意なのですが、少数の物を作ることには慣れていません。
そのため、クレーム対応には不向きとも言えるのです。
それと大きな声では言えませんが、どうしても文化の違いというか、考え方の違いが存在しているように感じる時があります。年前に経験したのですが、ある有名なアニメキャラクターのオリジナルタオルを手がけたときのことです。予算の関係もあり、中国製を使ったのですが、出来上がりが良くなくてクレームになりました。こういった、有名キャラクターの場合、著作権の問題もあり必ず全数焼却して、その様子を写真に収めて提出することを要求されます。
ところが、その中国企業からは、「公司」のはんこが押された書類が来ただけでした。
「公司」というのは、国営を意味しています。
つまり、「国が確認したから間違いがない」ということなんですけど、実際に焼却処分をしたかどうかは怪しいところです。
もしかすると、他のマーケットに出回っていたかも知れません。
こちらも文句を言いたいところなのですが、「中国公司」には逆らえないのです。
他にも最近の話だと、ある工場で使っている染料に発がん性物質が混じっているということになり、すべて没収されるという大騒ぎがありました。
ひとことで国民性の違いとして片付けるのは嫌なのですが、私から言わせると、どうみてもタオル作りをバカにしているとしか思えません。そして同様に中国産のタオルを日本製として販売している業者に関しても、憤りを感じます。同じ条件なら、納期、品質、価格とも絶対に負けない自信があるのに、そういったトリックで負けてしまうのは、なんとも残念でなりません。
オリジナルタオルの品質を左右するのは、国産かそうでないかだけではありません。
たとえ、純国産であっても、製造工程によっては、大きく違ってきます。
タオルの製造工程というのは、織物機で作られたタオル生地を、プリント工場に出すというやり方がほとんどです。
なので、この連携が悪いと、良い製品は出来上がりません。
プリント工場も、工場によって得手不得手があります。
染料プリントが得意なところもあれば、顔料プリントが得意なところもあります。
例えば、あるタオル工場の抱えているプリント工場が顔料を得意としているところだとしたら、そのタオル工場に染料プリントを依頼すると、とんでもない品質のものが出来上がります。
ですから、発注する側としては、このタオル工場が、どんなプリント工場を抱えているかということをしっかりと把握しておかなければなりません。
また、タオル工場側の人間性にもよる部分があります。
プリント工場をあくまでも下請けだという意識で付き合いをしているところと、大切なビジネスパートナーだというところでは、必然的に違ってきます。特に、クレーム処理など緊急性の高いオーダーになると、チームワークの良いところにしか頼めないということになってくるのです。
いくら電話やメールなどの通信手段が発達したとはいえ、心の通っているところでないと、ただの伝言ゲームに終わってしまいます。そして、その伝言ゲームこそ、トラブルの温床でもあるのです。ちなみに、神野織物はそういった織物工場とプリント工場のネットワークをすべて把握しています。それは一重に、お客様にご迷惑をかけないためには重要なことだからです。
「中国製のオリジナルタオルと日本製のオリジナルタオル」タオル製造工程の裏側
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